2007年 03月 19日
ニューヨークで夢を叶えた団塊世代の写真家☆遠藤弘志 |
ニューヨークで初アートグループショーに出展した函館在住の写真家、遠藤弘志さん。会社員なら定年退職していく団塊の世代だが、遠藤弘志さんはまさにこれからさらに大きな夢を持って世界に羽ばたこうとしている。そんな遠藤氏にニューヨーク滞在中お話を伺った。
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今回の出展は3作品。題して Monument。
母を見舞いに行った帰り道、丘の上に茶色になった1本の草が立っていた。
その草は、枝が折れ、葉もなく、風が吹いてもそよぎもせず天に向かって立っていた。
雪がふった日に、その丘の前を通ったが、もうどこにも草は見えなかった。
あの草が、今も私の記憶の中にある。
生命は最後までその生命を全うする。
写真家 遠藤弘志
一瞬、水墨画かと思うような写真だ。カラフルなギャラリーに展示される他の作品に混じり、遠藤氏の作品の前では誰もが足を止める。その1本の草はまるで人間そのもののように儚くも、力強くもあり、そして個としてこの世に存在する。今回出展した題材は草と蔦(つた)だが、被写体は人間ほど面白いものは無いと遠藤氏は言う。人間は優しくもあり、残酷でもある。そんな彼の哲学は出展作品にも反映されている。
遠藤氏は20年以上「生命」をテーマに写真を撮り続けてきた。旅してきたのはイスラム圏諸国と東南アジアが多かった。だからうるさい程に活気溢れる国々を旅してきた遠藤氏にとってニューヨークは静かな街だと言う。いたずらっぽく笑う眼差しはどこか優しく、そしてその目がファインダーを覗き様々な世界を見てきたのだ。
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函館を活動の拠点としている遠藤氏はこの出展作品を撮影中、東京での出展を考えていた。けれど東京もニューヨークも同じなのではないかとふと思いつき、何の伝もコネも無いまま昨年(2006年)9月初めてニューヨークを訪れた。英語が話せず、知人の知人がギャラリーを一緒に回ってくれた。その時、彼の作品を気に入ってくれたのがチェルシーにあるMonkdogz Urban Artギャラリーだった。初めてのニューヨーク、初めての海外出展の運びとなった今、喜びで一杯の遠藤氏は既に次のステップとしてヨーロッパに目を向けている。
近年のデジタル化に伴い、PCに向かうことが遠藤氏にとっての暗室となった。作品は主にデジタルカメラとビューカメラで撮影する。ニューヨークで出展しようと思ってから、サイズを大きくした。出展された作品は本来なら3メートルあり、そのオリジナルを縮小したのだという。周りの人たちには大きすぎると批判されたが、彼の直感は当たった。この大きさで勝負するには日本ではなくニューヨークのギャラリーや美術館出展だ、というのが遠藤氏の頭を過ぎったからだ。
そんな遠藤氏にはもうひとつの顔がある。使い古した車椅子を必要としている人々の元へ届けるというボランティア、『飛んでけでけ車椅子』の会員となったことだ。使われなくなった車椅子を修理し、旅行者の荷物としてアジアを中心に世界各国に運ぶ。無料で運ぶことができ、また旅行者自身が病院まで届けることで受け取る側だけでなく、届ける側にも意味を持たせるのだ。遠藤氏が旅して来た国々への恩返しの念がそこには込められているように感じた。
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夢はまだまだ大きく膨らむ団塊世代の写真家、遠藤弘志さん。出展作品はMonkdogz Urban Artギャラリーにて2007年4月21日まで開催される。◇ (取材/文:川上春奈)
Vertical Rising
11am - 6pm daily from Tuesday to Saturday and by appointment
Monkdogz Urban Art
March 15, 2007 - April 21, 2007
547 West 27th Street (Between 10&11 Ave) 5th Floor
New York, NY 10001
212-216-0030
www.monkdogz.com
遠藤弘志略歴
1947年北海道に生まれる。日本写真専門学院卒業後、東京においてCM撮影の会社勤務を経て、のちフリーとなる。
1977年函館にて、studioZOE設立。1992年写真集『季節の扉』出版。2004年写真集『Asian days』出版
個展
1994年 道(シルクロード、天山南路) 95年 道(シルクロード、トルコ) 96年 道(シルクロード、パキスタン) 97年 道(シルクロード、シリア、ヨルダン) 98年 道(シルクロード、天空の人ラダっく、チベット) 99年 道(シルクロード、イラン) 2000年 道(タイランズロム) 01年 道(シルクロード、ネパール) 02年 道(ベトナム) 04年 道(インドネシア、バリ) 05年 Rehearsal(リハーサル) 06年 幽明のオマージュ
CM撮影の他、ライフワークとしてシルクロード、イスラム、東南アジアの日常を撮影(朝日新聞、週間シルクロード紀行に写真連載)
〒041-0832
函館市神山 3-40-10
Studio ZOE
Tel/Fax:0138-52-1362
Email: shiba-s@sky.plala.or.jp
Web: http://www16.plala.or.jp/st-zoe
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私を宣伝して!と思うNY在住のアーティストの方、メールにてご連絡下さい。
ジャンルは問いません。
Haruna.Kawakami@gmail.com
今回の出展は3作品。題して Monument。
母を見舞いに行った帰り道、丘の上に茶色になった1本の草が立っていた。
その草は、枝が折れ、葉もなく、風が吹いてもそよぎもせず天に向かって立っていた。
雪がふった日に、その丘の前を通ったが、もうどこにも草は見えなかった。
あの草が、今も私の記憶の中にある。
生命は最後までその生命を全うする。
写真家 遠藤弘志
一瞬、水墨画かと思うような写真だ。カラフルなギャラリーに展示される他の作品に混じり、遠藤氏の作品の前では誰もが足を止める。その1本の草はまるで人間そのもののように儚くも、力強くもあり、そして個としてこの世に存在する。今回出展した題材は草と蔦(つた)だが、被写体は人間ほど面白いものは無いと遠藤氏は言う。人間は優しくもあり、残酷でもある。そんな彼の哲学は出展作品にも反映されている。
遠藤氏は20年以上「生命」をテーマに写真を撮り続けてきた。旅してきたのはイスラム圏諸国と東南アジアが多かった。だからうるさい程に活気溢れる国々を旅してきた遠藤氏にとってニューヨークは静かな街だと言う。いたずらっぽく笑う眼差しはどこか優しく、そしてその目がファインダーを覗き様々な世界を見てきたのだ。
函館を活動の拠点としている遠藤氏はこの出展作品を撮影中、東京での出展を考えていた。けれど東京もニューヨークも同じなのではないかとふと思いつき、何の伝もコネも無いまま昨年(2006年)9月初めてニューヨークを訪れた。英語が話せず、知人の知人がギャラリーを一緒に回ってくれた。その時、彼の作品を気に入ってくれたのがチェルシーにあるMonkdogz Urban Artギャラリーだった。初めてのニューヨーク、初めての海外出展の運びとなった今、喜びで一杯の遠藤氏は既に次のステップとしてヨーロッパに目を向けている。
近年のデジタル化に伴い、PCに向かうことが遠藤氏にとっての暗室となった。作品は主にデジタルカメラとビューカメラで撮影する。ニューヨークで出展しようと思ってから、サイズを大きくした。出展された作品は本来なら3メートルあり、そのオリジナルを縮小したのだという。周りの人たちには大きすぎると批判されたが、彼の直感は当たった。この大きさで勝負するには日本ではなくニューヨークのギャラリーや美術館出展だ、というのが遠藤氏の頭を過ぎったからだ。
そんな遠藤氏にはもうひとつの顔がある。使い古した車椅子を必要としている人々の元へ届けるというボランティア、『飛んでけでけ車椅子』の会員となったことだ。使われなくなった車椅子を修理し、旅行者の荷物としてアジアを中心に世界各国に運ぶ。無料で運ぶことができ、また旅行者自身が病院まで届けることで受け取る側だけでなく、届ける側にも意味を持たせるのだ。遠藤氏が旅して来た国々への恩返しの念がそこには込められているように感じた。
夢はまだまだ大きく膨らむ団塊世代の写真家、遠藤弘志さん。出展作品はMonkdogz Urban Artギャラリーにて2007年4月21日まで開催される。◇ (取材/文:川上春奈)
Vertical Rising
11am - 6pm daily from Tuesday to Saturday and by appointment
Monkdogz Urban Art
March 15, 2007 - April 21, 2007
547 West 27th Street (Between 10&11 Ave) 5th Floor
New York, NY 10001
212-216-0030
www.monkdogz.com
遠藤弘志略歴
1947年北海道に生まれる。日本写真専門学院卒業後、東京においてCM撮影の会社勤務を経て、のちフリーとなる。
1977年函館にて、studioZOE設立。1992年写真集『季節の扉』出版。2004年写真集『Asian days』出版
個展
1994年 道(シルクロード、天山南路) 95年 道(シルクロード、トルコ) 96年 道(シルクロード、パキスタン) 97年 道(シルクロード、シリア、ヨルダン) 98年 道(シルクロード、天空の人ラダっく、チベット) 99年 道(シルクロード、イラン) 2000年 道(タイランズロム) 01年 道(シルクロード、ネパール) 02年 道(ベトナム) 04年 道(インドネシア、バリ) 05年 Rehearsal(リハーサル) 06年 幽明のオマージュ
CM撮影の他、ライフワークとしてシルクロード、イスラム、東南アジアの日常を撮影(朝日新聞、週間シルクロード紀行に写真連載)
〒041-0832
函館市神山 3-40-10
Studio ZOE
Tel/Fax:0138-52-1362
Email: shiba-s@sky.plala.or.jp
Web: http://www16.plala.or.jp/st-zoe
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私を宣伝して!と思うNY在住のアーティストの方、メールにてご連絡下さい。
ジャンルは問いません。
Haruna.Kawakami@gmail.com
by HarunaKawakami
| 2007-03-19 15:53
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